トンネル二次覆工コンクリートの養生方法と効果について

1.はじめに

一般的に、トンネルの二次覆工は、施工サイクルを確保するため、コンクリート打設後15~20時間程度で脱型し、その後は無養生の場合が多い。このため、十分な養生が実施されず、覆工表面での急激な温度低下や乾燥を招き、収縮ひび割れの発生やポーラス化の原因となっている。

その対策のために著者らは、二次覆工コンクリート打設直後のセントル全体及びセントル脱型後の覆工表面を風船(以下、バルーン)で覆い、坑内環境(温度、湿度、風)からの影響を遮断し、高品質のコンクリートを施工する養生技術を開発した。本報告では、養生方法の概略及び現場計測実験に関して述べる。

2.技術の概要

本技術は、セントル用とコンクリート用の2種類のバルーンを使用する(写真-1参照)。セントル用は、セントル妻部及び内側車両通行部を各々バルーン及びシートで覆う。またコンクリート用は、専用台車を用いてトンネル断面と同形のバルーンで覆う構造である。

(1)使用目的

セントル用バルーンは、打設直後の坑内環境からの影響を軽減し、覆工内部からの水和熱による保温効果が期待できる(保温養生)。また、脱型後に使用されるコンクリート用バルーンは、材齢初期における覆工表面での急激な湿度の低下を抑制する(湿潤養生)。

(2)効果

バルーン養生が期待する品質及び施工上の主な効果を以下に示す。
・内部拘束作用に起因した温度ひび割れの発生抑制
・乾燥収縮ひび割れの発生低減
・覆工表面からの水分逸散による強度発現の遅延防止

3.現場計測実験

(1)実験概要

コンクリート用バルーンの養生効果及び養生期間を確認するため、現場計測実験を実施した。本実験の概要は、右の表のとおりである。

(2)実験結果

①温度

覆工内部、表面及び坑内での温度計測結果、および覆工厚方向の温度勾配を右の図に示す。

バルーン養生を実施した場合、覆工内外での温度差はない(温度勾配ゼロ)状態が保たれている。7日養生と4日養生での大きな差異は見られなかった。それに対し、無養生の場合、覆工内外温度差は最大11℃(材齢1.5日)に達した。全ての温度は、材齢14日程度で平衡状態になった。本実験では、坑内温度が20℃程度と良好なため、バルーン養生の有無による差が小さいが、貫通後などの坑内環境が厳しい場合は、明確にその効果が現れると思われる。

②湿度

覆工表面および坑内での湿度計測結果を右の図に示す。バルーン養生を実施している期間は、覆工表面を湿潤状態に保つことができる。これに対して、無養生の場合は、脱型後から急激な湿度低下が進む。

③表面反発度

覆工表面3箇所(天端、肩部(S.L.から3.6m上)、下端部(インバート表面から1.5m上))での材齢28日における表面反発度の値を右の図に示す。

バルーン養生を行った場合、無養生に対して高い結果となった。特に、7日養生の天端部では無養生に比べて約1割増加した。これは、バルーンによる保温・湿潤養生効果のためと思われる。

④表面ひずみ変化量

覆工表面(下端部)での軸方向ひずみの変化量を右の図に示す。但し、材齢1日を初期値としている。

材齢が短いため、乾燥収縮ひずみの絶対量の評価は難しいが、無養生の場合、覆工表面での急激な温湿度の低下による温度収縮ひずみの傾向が顕著に現れている。ひずみ変化量は、4日養生及び7日養生ともに無養生を下回った。

4.まとめ

バルーン養生は、材齢初期における覆工内外温度差を小さくでき、表面を湿潤状態に保つことができる。このため、温度差から発生する内部拘束を生じにくくし、温度ひび割れの発生を抑制する効果が期待できる。

但し、一般的に、湿潤養生はコンクリートの水和を促進し、強度発現の増進に寄与するが、あまり長い初期の(湿潤)養生は脱型時の収縮を増大させ、さらに強度増進による拘束率が上がるため、逆に収縮ひび割れの発生危険度が高くなる。このため、バルーンによる養生期間は、無養生に対する強度とひずみの結果から、7日程度の存置期間が良いと思われる。

なお、本報告では、計測時期の関係上、材齢初期のみの結果を整理したが、さらに経過計測を実施し、乾燥収縮ひずみの履歴や表面変状の観察を実施していきたい。

謝辞

本実験の実施にあたり、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部の関係者殿に謝意を表します。

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