2-1 コンクリート構造物の養生

10.4 養生

10.4.1 一般

コンクリートは、打込み後の一定期間を硬化に必要な温度および湿度に保ち、有害な作用の影響を受けないよう、十分これを養生しなければならない。

日平均気温 普通ポルトラルセメント 混合セメントB種 早強ポルトラルセメント
15℃以上 5日 7日 3日
10℃以上 7日 9日 4日
5℃以上 9日 12日 5日

トンネル覆工コンクリートの場合、コンクリートの種類、配合条件、また、坑内の温度、湿度、風速等を十分検討する必要があります。

【2002年制定】コンクリート標準示方書[施工編]より抜粋《資料―1》

資料1

10.4 養生

10.4.1 一般

コンクリートは、打込み後の一定期間を硬化に必要な温度および湿度に保ち、有害な作用の影響をうけないように、十分これを養生しなければならない。

【解説】打ち終わったコンクリートが、その水和反応により十分に強度を発現し、所要の耐久性、水密性、鋼材を保護する性能等の品質を確保し、有害なひび割れを生じないようにするために、打込み後一定期間は、コンクリートを適当な温度のもとで、十分湿潤状態に保ち、且つ有害な作用の影響を受けないようにすることが必要であり、そのための作業をコンクリートの養生という

この目的のために、湿潤に保つ養生、温度を制御する養生および有害な作用に対し保護する養生を行うことになる(解説 図10.4.1 参照)

これらの3つの養生は、目的に区分したものであり、養生の方法によっては相互に関連する。

また、それぞれの養生は複数の目的のために行われる。

養生の具体的な方法や必要日数は、それぞれの該当する条項に従い、構造物の種類、施工条件、立地条件、環境条件等、個々の状況に応じて定めることが重要である。

10.4.2 湿潤養生

(1)コンクリートは、打込み後、硬化を始めるまで、日光の直射、風等による水分の逸散を防がなければならない。

(2)表面を荒さないで作業ができる程度に硬化したら、コンクリートの露出面は養生マット布等をぬらしたのもで、これを覆うかまたは散水、灌水を行い、湿潤状態に保たなければならない。湿潤状態し保つ期間は、表10.4.1を標準とする。

日平均気温 普通ポルトラルセメント 混合セメントB種 早強ポルトラルセメント
15℃以上 5日 7日 3日
10℃以上 7日 9日 4日
5℃以上 9日 12日 5日

(3)せき板が乾燥するおそれのあるときは、これに散水し湿潤状態にしなければならない。

(4)膜養生を行う場合には、十分な量の膜養生剤を適切な時期に、均一に散布しなければならない。膜養生剤は、その効果、施工性について十分な試験によって品質の確認されたものでなければならない。

【解説】

(1)について コンクリートは、打ち込み後ごく早い時期に表面が乾燥して内部の水分が失われると、セメントの水和反応が十分に行われず、また、特に直射日光や風などによって表面だけが急激に乾燥すると、ひび割れの発生の原因となる。このために、打ち終わったコンクリートの上部には、シートなどで日よけや風よけを設けることが望ましい。

(2)について コンクリートの力学的性能、耐久性、およびその他の性能等の品質を高めるためには、できるだけ長く湿潤状態に保つのがよい。これはコンクリートを十分硬化させることと、硬化中の乾燥による収縮をできるだけ小さくするためである。
 しかし、長期湿潤養生することは、一般の構造物においては困難であり、また不経済でもある。しかも、湿潤養生の効果の大部分は初期の養生期に限られている。そこで、養生温度によって養生効果は異なるが、標準的な養生日数を、本文のように定めた。

その他のセメントを使用する場合や工事の期間、施工方法等によって養生期間を定める場合には、構造物の種類、位置、気象条件等を考慮し、試験によって確認したうえで決定することが望ましい。また、海水、アルカリや酸性の土または水等の浸食作用を受ける場合には、普通の場合より養生期間を延ばす必要がある。