トンネル覆工コンクリート(トータル養生工法)

トンネル覆工コンクリート(トータル養生工法)

トンネル覆工コンクリート・トータル養生工法(実績多数!)

トンネル覆工コンクリートトータル養生工法の紹介

トンネル二次覆工は、施工サイクルを確保するために、打設後15~20時間程度で脱型されることが多く、十分な養生が行われない場合があります。その結果、覆工表面の急激な温度低下や乾燥が発生し、収縮ひび割れやポーラス化の原因となります。

【対策】

弊社では、二次覆工コンクリート打設直後のセントル全体および脱型後の覆工表面を風船(バルーン)で覆い、坑内環境(温度・湿度・風)の影響を遮断する養生技術を開発しました。これにより、高品質なコンクリートの施工が可能となります。


効果の定量的確認

弊社は西松建設と共同で、トンネル覆工コンクリートのトータル養生工法の効果を定量的に確認しました。トンネルバルーンは以下の2種類で構成されます。

  1. セントル養生バルーン

  2. 覆工養生バルーン


養生試験結果

養生の目的

  1. 覆工コンクリートの高品質化

  2. 乾燥収縮による表面ひび割れの低減

  3. 温度応力による構造クラックの低減

試験概要

  • 場所:北陸新幹線 飯山トンネル

  • 時期:平成16年2月16日~

無養生の場合の測定結果

  • 坑内温度(平均):19℃

  • コンクリート内部温度(最高):38℃

  • 覆工表面温度(最高):28℃(内部温度との差 -10℃)

【湿度】
・坑内湿度(平均):71%
・表面湿度(平均):63%

養生した場合

【温度】
・坑内温度(平均):19℃
・内部温度の最高:36℃
・表面温度の最高:35℃(温度差ほぼなし)

【湿度】
・坑内湿度(平均):71%
・表面湿度(平均):90%
 

概念図

1.セントル養生バルーン

セントル打設後から脱型まで、セントルをバルーンで覆い、温度養生します

[特 徴]

(1) 若材齢時に温度管理をすることで初期強度の向上
(2) 高品質コンクリートの確保(脱型時に付着が少ない)
(3) サイクルタイムの短縮
(4) 洗い水がセントル車両通行部に落下しない

2.覆工養生バルーン

脱型後の覆工面を覆います

[特 徴]

(1) 長期材齢の強度アップ
(2) 覆工面を湿潤状況に保つ → 乾燥収縮防止
(3) 断熱効果(覆工内部と表面温度差が少ない)→ 温度応力の軽減

実績現場(平成25年8月、100現場到達!)

No 年月日 発注者 場所 施工業者 区分(バルーンタイプ) 備考
100 平成25年8月 北海道開発局 北海道 M建設 セントル用
99 平成25年8月 東北地方整備局 宮城県 K組 セントル用
98 平成25年8月 北海道開発局 北海道 S建設 セントル用
97 平成25年7月 北海道開発局 北海道 T土木 セントル用
96 平成25年6月 北海道開発局 北海道 K組 セントル用+コンクリート用 1スパン
95 平成25年6月 近畿地方整備局 和歌山県 M建設 セントル用
94 平成25年6月 近畿地方整備局 滋賀県 O組 セントル用
93 平成25年6月 九州地方整備局 大分県 O組 セントル用+コンクリート用 3スパン
92 平成25年5月 東北地方整備局 宮城県 K組 セントル用
91 平成25年4月 鉄道運輸機構 長崎県 A コンクリート用 3スパン
90 平成25年4月 東北地方整備局 岩手県 S建設 コンクリート用 3スパン
89 平成25年3月 北海道開発局 北海道 I組 セントル用 モイスト
88 平成25年3月 鉄道運輸機構 長崎県 A セントル用+コンクリート用 3スパン
87 平成25年1月 九州地方整備局 長崎県 O組 コンクリート用 1スパン
86 平成25年1月 東北地方整備局 福島県 D セントル用
85 平成25年1月 東北地方整備局 宮城県 M建設 セントル用
84 平成24年12月 島根県 島根県 A組 セントル用
83 平成24年12月 東北地方整備局 宮城県 T建設 セントル用
82 平成24年10月 東北地方整備局 秋田県 M建設 セントル用
81 平成24年10月 埼玉県 埼玉県 U セントル用+コンクリート用 1スパン
80 平成24年10月 東北地方整備局 宮城県 I建設 セントル用
79 平成24年10月 東北地方整備局 岩手県 M建設 セントル用
78 平成24年9月 北海道開発局 北海道 I建設 セントル用 モイスト
77 平成24年9月 中国地方整備局 島根県 M組 セントル用+コンクリート用 3スパン
76 平成24年9月 近畿地方整備局 和歌山県 O組 セントル用
75 平成24年8月 東北地方整備局 岩手県 K組 セントル用
74 平成24年8月 仙台市 宮城県 A建設 セントル用
73 平成24年8月 九州地方整備局 大分県 K組 セントル用+コンクリート用 3スパン
72 平成24年8月 岐阜県 岐阜県 I セントル用
71 平成24年8月 近畿地方整備局 大阪 T建設 セントル用
70 平成24年7月 北海道開発局 北海道 I組 セントル用 モイスト
69 平成24年7月 北海道開発局 北海道 A セントル用+コンクリート用 3スパン
68 平成24年6月 九州地方整備局 大分県 K組 セントル用+コンクリート用 5スパン
67 平成24年6月 石川県 石川県 M建設 コンクリート用 2スパン
66 平成24年6月 北陸地方整備局 新潟県 G建設 セントル用
65 平成24年6月 北陸地方整備局 石川県 M コンクリート用 2スパン
64 平成24年5月 中部地方整備局 岐阜県 T建設 セントル用
63 平成24年5月 NEXCO中日本 愛知県 T建設 セントル用
62 平成24年5月 九州地方整備局 鹿児島県 A セントル用
61 平成24年5月 九州地方整備局 鹿児島県 A セントル用
60 平成24年5月 東北地方整備局 岩手県 A セントル用
59 平成24年5月 北海道開発局 北海道 M建設 セントル用
58 平成24年5月 中部地方整備局 愛知県 T建設 セントル用
57 平成24年5月 九州地方整備局 鹿児島県 A セントル用
56 平成24年4月 中国地方整備局 広島県 T建設 コンクリート用 3スパン
55 平成24年3月 東北地方整備局 宮城県 M建設 セントル用
54 平成24年3月 東北地方整備局 岩手県 A セントル用
53 平成24年2月 鉄道運輸機構 青森県 T建設 セントル用+コンクリート用 3スパン
52 平成24年1月 近畿地方整備局 三重県 T建設 コンクリート用 1スパン
51 平成23年12月 中国地方整備局 広島県 I セントル用
50 平成23年12月 中国地方整備局 広島県 I セントル用
49 平成23年11月 東北地方整備局 青森県 G建設 セントル用
48 平成23年11月 北海道開発局 北海道 S建設 セントル用
47 平成23年10月 北海道開発局 北海道 S建設 セントル用
46 平成23年10月 中国地方整備局 広島県 K建設 コンクリート用 3スパン
45 平成23年9月 北海道開発局 北海道 K建設 セントル用+コンクリート用 3スパン
44 平成23年9月 近畿地方整備局 三重県 A セントル用+コンクリート用 2スパン
43 平成23年9月 北海道開発局 北海道 A セントル用+コンクリート用 3スパン
42 平成23年8月 中部地方整備局 三重県 K組 セントル用
41 平成23年8月 鉄道運輸機構 山梨県 K組 コンクリート用 1スパン
40 平成23年8月 近畿地方整備局 和歌山県 M組 セントル用
39 平成23年7月 近畿地方整備局 京都府 T建設 セントル用
38 平成23年7月 中部地方整備局 三重県 K組 コンクリート用 3スパン
37 平成23年6月 中国地方整備局 広島県 T建設 セントル用
36 平成23年5月 中国地方整備局 広島県 F組 コンクリート用 2スパン
35 平成23年5月 東北地方整備局 福島県 S建設 セントル用+コンクリート用 2スパン
34 平成23年4月 福岡県 福岡県 A セントル用
33 平成23年4月 近畿地方整備局 和歌山県 M組 セントル用
32 平成23年3月 東北地方整備局 秋田県 M建設 セントル用
31 平成23年3月 鉄道運輸機構 山梨県 S建設 コンクリート用 2スパン
30 平成23年3月 関東地方整備局 栃木県 A建設 セントル用+コンクリート用 1スパン
29 平成23年2月 近畿地方整備局 三重県 T建設 セントル用+コンクリート用 1スパン
28 平成23年2月 東北地方整備局 福島県 S建設 セントル用+コンクリート用 2スパン
27 平成23年1月 中部地方整備局 三重県 T建設 コンクリート用 3スパン
26 平成23年1月 岐阜県 岐阜県 D,S,K JV コンクリート用 3スパン
25 平成23年1月 九州地方整備局 大分県 A セントル用+コンクリート用 1スパン
24 平成23年1月 九州地方整備局 大分県 A セントル用+コンクリート用 1スパン
23 平成23年1月 東北地方整備局 山形県 M建設 コンクリート用 3スパン
22 平成23年1月 愛知県 豊橋市 A セントル用
21 平成22年12月 中部地方整備局 三重県 S建設 コンクリート用 2スパン
20 平成22年12月 岐阜県 岐阜県 K組 セントル用+コンクリート用 1スパン
19 平成22年12月 中日本高速道路 愛知県 ○組 コンクリート用 3スパン
18 平成22年11月 中部地方整備局 岐阜県 M建設 セントル用
17 平成22年11月 近畿地方整備局 兵庫県 M建設 セントル用+コンクリート用 2スパン
16 平成22年11月 近畿地方整備局 兵庫県 M建設 セントル用+コンクリート用 2スパン
15 平成22年11月 中国地方整備局 島根県 A工業 コンクリート用 3スパン
14 平成22年11月 中日本高速道路 福井県 S建設 コンクリート用 3スパン
13 平成22年10月 中日本高速道路 愛知県 T建設 セントル用
12 平成22年10月 九州地方整備局 宮崎県 A セントル用+コンクリート用 3スパン
11 平成22年10月 中部地方整備局 岐阜県 S工業 セントル用
10 平成22年10月 中国地方整備局 広島県 S工業 コンクリート用 3スパン
9 平成22年10月 北陸地方整備局 福井県 N建設 コンクリート用 3スパン
8 平成22年9月 鉄道運輸機構 北海道 H,T,M JV セントル用+コンクリート用 3スパン
7 平成22年8月 九州地方整備局 長崎県 I,G,Y JV セントル用+コンクリート用 3スパン
6 平成22年8月 中部地方整備局 三重県 T建設 セントル用
5 平成22年8月 中日本高速道路 福井県 N建設 セントル用+コンクリート用 3スパン
4 平成22年8月 九州地方整備局 宮崎県 K組 コンクリート用 4スパン
3 平成22年8月 関東地方整備局 栃木県 A建設 セントル用+コンクリート用 3スパン
2 平成22年8月 岐阜県 岐阜県 T建設 コンクリート用 3スパン
1 平成22年7月 鉄道運輸機構 北海道 T建設 セントル用+コンクリート用 3スパン

トンネル二次覆工コンクリートの養生方法と効果について

1.はじめに

一般的に、トンネルの二次覆工は、施工サイクルを確保するため、コンクリート打設後15~20時間程度で脱型し、その後は無養生の場合が多い。このため、十分な養生が実施されず、覆工表面での急激な温度低下や乾燥を招き、収縮ひび割れの発生やポーラス化の原因となっている。

その対策のために著者らは、二次覆工コンクリート打設直後のセントル全体及びセントル脱型後の覆工表面を風船(以下、バルーン)で覆い、坑内環境(温度、湿度、風)からの影響を遮断し、高品質のコンクリートを施工する養生技術を開発した。本報告では、養生方法の概略及び現場計測実験に関して述べる。

2.技術の概要

本技術は、セントル用とコンクリート用の2種類のバルーンを使用する(写真-1参照)。セントル用は、セントル妻部及び内側車両通行部を各々バルーン及びシートで覆う。またコンクリート用は、専用台車を用いてトンネル断面と同形のバルーンで覆う構造である。

(1)使用目的

セントル用バルーンは、打設直後の坑内環境からの影響を軽減し、覆工内部からの水和熱による保温効果が期待できる(保温養生)。また、脱型後に使用されるコンクリート用バルーンは、材齢初期における覆工表面での急激な湿度の低下を抑制する(湿潤養生)。

(2)効果

バルーン養生が期待する品質及び施工上の主な効果を以下に示す。
・内部拘束作用に起因した温度ひび割れの発生抑制
・乾燥収縮ひび割れの発生低減
・覆工表面からの水分逸散による強度発現の遅延防止

3.現場計測実験

(1)実験概要

コンクリート用バルーンの養生効果及び養生期間を確認するため、現場計測実験を実施した。本実験の概要は、右の表のとおりである。

(2)実験結果

①温度

覆工内部、表面及び坑内での温度計測結果、および覆工厚方向の温度勾配を右の図に示す。

バルーン養生を実施した場合、覆工内外での温度差はない(温度勾配ゼロ)状態が保たれている。7日養生と4日養生での大きな差異は見られなかった。それに対し、無養生の場合、覆工内外温度差は最大11℃(材齢1.5日)に達した。全ての温度は、材齢14日程度で平衡状態になった。本実験では、坑内温度が20℃程度と良好なため、バルーン養生の有無による差が小さいが、貫通後などの坑内環境が厳しい場合は、明確にその効果が現れると思われる。

②湿度

覆工表面および坑内での湿度計測結果を右の図に示す。バルーン養生を実施している期間は、覆工表面を湿潤状態に保つことができる。これに対して、無養生の場合は、脱型後から急激な湿度低下が進む。

③表面反発度

覆工表面3箇所(天端、肩部(S.L.から3.6m上)、下端部(インバート表面から1.5m上))での材齢28日における表面反発度の値を右の図に示す。

バルーン養生を行った場合、無養生に対して高い結果となった。特に、7日養生の天端部では無養生に比べて約1割増加した。これは、バルーンによる保温・湿潤養生効果のためと思われる。

④表面ひずみ変化量

覆工表面(下端部)での軸方向ひずみの変化量を右の図に示す。但し、材齢1日を初期値としている。

材齢が短いため、乾燥収縮ひずみの絶対量の評価は難しいが、無養生の場合、覆工表面での急激な温湿度の低下による温度収縮ひずみの傾向が顕著に現れている。ひずみ変化量は、4日養生及び7日養生ともに無養生を下回った。

4.まとめ

バルーン養生は、材齢初期における覆工内外温度差を小さくでき、表面を湿潤状態に保つことができる。このため、温度差から発生する内部拘束を生じにくくし、温度ひび割れの発生を抑制する効果が期待できる。

但し、一般的に、湿潤養生はコンクリートの水和を促進し、強度発現の増進に寄与するが、あまり長い初期の(湿潤)養生は脱型時の収縮を増大させ、さらに強度増進による拘束率が上がるため、逆に収縮ひび割れの発生危険度が高くなる。このため、バルーンによる養生期間は、無養生に対する強度とひずみの結果から、7日程度の存置期間が良いと思われる。

なお、本報告では、計測時期の関係上、材齢初期のみの結果を整理したが、さらに経過計測を実施し、乾燥収縮ひずみの履歴や表面変状の観察を実施していきたい。

謝辞

本実験の実施にあたり、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部の関係者殿に謝意を表します。

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